分析:テーマ編

ランニング中の特定の部位に着目した動きの分析

分析:テーマ編

地面の反発力を感じるフォームの試行

マラソン中継でのフォームに対する素朴な疑問があった ひどいヒール着地のフォームで、地面の反発力を感じることもなく、意味も分らなかったスタッフが、地面の反発力を感じられる様になったきっかけとなる実験的な走り方をを紹介します(このページの最後)。その結果、体重が腰に乗っかって走る感覚や、重心の真下に着地するという感覚も今では掴めて、フラット着地にも自然に変化しました。 昔、前傾姿勢でないと前に進まないと言われてました(と言っていると勝手に思っていたのか?)。でも、マラソン中継を見ていて、トップ集団ですら上半身が前傾してる選手も真っ直ぐ立ったままの選手も、同じスピードですっごい速さで走っていますね。自分は、はるかに遅い速度で走るのに・・・・、「前傾が大事だ」といろんな本や有名人が言う。これがずうっと不思議でした。加えて、骨盤の前傾の話になると、一層混乱しました。そこで、地面の反発力を得るとか上体を骨盤に乗せるとは、走る為にどういう意味を持つのかの物理的な意味を、始めに考えてみましょう。具体的な実験試走方法は最後に書いてあります。あくまで個人的な一手法ですが参考になれば幸いです。 着地時の地面...
分析:テーマ編

マラソンにおけるピッチとストライドの傾向

陸上トラック競技の長距離選手が、駅伝やハーフやフルマラソンを走ることは多いので、フルマラソンにしても走り方の基本は、「省エネでより速いフォーム」という目指すところは一応同じと考えていいと思います。実際、本やメディアに登場するトレーナは、市民ランナーに向かって現役の陸上選手のようなフォームに暗に近づけようとする指摘で溢れています。体力も筋力も劣る(しかも多くの場合体重も重い、何より年齢が大分上)市民ランナーにとっての理想フォームが、若い現役の陸上選手と同じかどうかは一旦おいて、参考になる共通点もあるはず。そのヒントを探るために両者をおおまかに比較してみました。また、マラソン選手のトッププロの走りとも比較してみました。(このページで使用したグラフは、ここの<フォーム指標を他ランナーと比較する>のグラフで非会員でも試せます。興味持っていただければ会員登録(無料/有料)もお願いします) スピードとピッチ マラソンランナーで速いランナーはピッチも速くなる傾向ですが、20km/h当たりで、陸上長距離選手と同等のピッチに達して居ます。そして、陸上選手のグループは速度が速くても、ピッチは必ずしも上がっ...
分析:テーマ編

スピードと着地時間

着地のとき、足で地面を蹴って上方や前に進む推進力を得ていますが、地面との接地時間GCT(Ground Contact Time)は短い方が、大きな力を得られます。ここでは、種目を通して接地時間とピッチなどの関係を調べてみました。 Summary スピードが速い種目の方が、接地時間が短い傾向がある。 マラソンランナーの走力・スピードにばらつきがあるため、スピードと接地時間との関係性も幅を持つが、速度が速くなると接地時間は約140msec前後に収束する マラソンでは、 スピードと接地時間 グラフ1から、マラソン走から短距離走と速度が上がるに連れて、接地時間GCTは短くなっています。マラソンのグループとそれ以外では乗っている関係曲線は異なっています。 補足:マラソンが一般市民ランナー中心(一部プロ選手)のデータであるのに対し、短中長距離走は現役の大学陸上選手であり、走力がある程度の範囲にまとまっているため、グルーピングすることで集団差として出ている可能性も高い。現役プロのマラソン選手を多く評価してみたいところです。 マラソンはランナーのレベルに幅があるため、同じスピードでもGTCに幅がありま...
分析:テーマ編

ストライドとピッチがスピードに及ぼす影響

スピードはストライドとピッチの掛け算で決まります。そこで、実際にスピードをとストライドとピッチに分けて、その関係を短距離走からマラソンまでの異なる速さごとにグループ分けして調べてみました。その結果、下記のことがわかってきました。 マラソン走では、スピードが上がるときはストライドとピッチが共に増えていく。但し、個人差が大きい。 中長距離走では、多くのランナーが、ピッチは200超えたあたりで一定となり、速いランナーはストライドが広いことが主な理由であった。 短距離走では、ストライドとピッチ共に、中長距離走よりも高いレベルにあるが、両指標はトレードオフの関係にある。又、ピッチに男女差はなく、ストライドが女子では男子より短いことが男女の速度差となっている 今回得られた結果は、集団としての傾向ですので個人差を考慮していませんが、グループ内の分布の点ひつつひとつが選手個人であるため、特定の個人に着目してみると弱みと強みが定量的に明確化されます。特に、団体としての専用の分布グラフを作成すれば、選手個々にとってトレーニングの方向性が定量的に明確になります。この手法は、個人はもちろん競技団体の指導者にと...
分析:テーマ編

テーマ分析:体の上下動と膝の屈曲、そしてブレーキと加速の関係

走った時の上下動は、空中での放物運動以外には、着地衝撃を吸収するための膝の屈伸が影響している。膝の屈曲が極大になるタイミングは、遊脚が支持脚を追い越す瞬間である。その前後でブレーキと加速期間が分かれている
分析:テーマ編

肩の回転

肩の回転
分析:テーマ編

分析/着地/着地タイプの走行速度への影響(陸上長距離)

着地における接地のタイプ解析 地面に最初に接地する足の部位に応じて、forefoot(つま先着地)、flat(フラット着地)、heel (かかと着地)に大別されている。実際はその中間もあるし、人により左右の足で差があることも多い。 また、マラソンの速度においては、経験上レースペースよりも速く走ろうとすると、歩幅を広くなり、それ起因でヒール着地が強くなったりする。また、ウォームアップ不足で体が固いと、ヒール着地になりやすい。 このように、着地はその時の条件により多少変化するようである。 fore fore jouchi-19 flat flat jouchi-16 heel heel jouchi-23 着地の良し悪しの検証 heel着地はブレーキになるから良くないと言われるが、ここでは実際に本当かどうか気になっていたので、大学陸上部の現役選手(上智大生、慶応大生)のフォームデータを解析した。 その結果、ランニングの速度の変化の模様が、個人差よりも着地足の違いでグルーピングされることが分かってきた。 (1)速度の変化と着地の様子 (大学陸上部選手 中長距離(800m〜3000m)+箱根駅...
分析:テーマ編

走る動作

3Dのアニメーションでのフォームを観察しながら気いたことを書いています。 足の着地位置はどこが正解か? ランニング動作のキーの一つである着地の位置について一緒に考えてみましょう。着地する際の足の位置をもっと真下でとか指摘されたことがありませんか。 または踵着地(ヒール)とつま先着地やフラット着地など何がいいのかでもやもやしていませんか。 その回答の一つになるかもしれないので、一緒に着地の時の体の重心と着地位置を考えて見ましょう。 前側着地やヒール着地だとブレーキがかかるのか? 体の重心と着地足を直線で結んで、身体を1本の棒に例えて考えて見ましょう。 図の右から左に動きを3Dアニメの画像を使って示しています。 1が踵から着地した瞬間ですが、まだ体重はかかっていないためブレーキにはなっていません。 2で完全に足が地面についた時点では、体重を支えるために踏ん張りますが、 重心と着地足を結ぶ線が傾いているため、つっかえ棒のように進行方向と逆の力、 すなわちブレーキがかかります。   棒でこの様子を再現 上図のようにある角度を保った棒が空中を飛んで来て 地面と接触するときを考えてみましょう。 棒...
分析:テーマ編

上体の横ブレと骨盤の傾斜及び仙骨疲労骨折リスク

ランナーの中には、走る時に身体が人よりも揺れていると感じている方が居ます。ランナーAさんもご自身のビデオを観た時にそういう印象を持ったそうです。今回、他の方と比較しながら別のサイトの先行情報1)2)3)も参考にして、上体の横揺れを3Dアニメーションと3Dデータで再現し考察しました。その調査の中で、今回の現象がトレンデレンブルグ徴候と呼ばれる動きと類似であり、仙骨の疲労骨折の一つの原因となることが指摘されていましたので、付け加えておきます。 体の横揺れの気になるランナーさんや、足の速い方で筋トレはあまりやらない方などには特に有益な情報となると思いますので、是非ご一読願えればと思います。 なお、下記サイト情報などを参考にさせていただきましたのでお礼申し上げます 股関節外転筋力が大きい側のみにトレンデレ ンブル グ徴候を認めた両変形性股関節症患者2例」坂本年将,  理学療法学 第19巻第2号 103〜108頁 (1992年)   トレンデレンブルグ徴候 (間接ライフ様ホームページ)     ビデオから気づく上体の横揺れ比較 3名 まずは、3名のランナーAさん、Bさん、Cさんを後ろから撮影した...
スタッフブログ

心拍数とランニングのパフォーマンス

ここ数年はトレイルランニング中心となり、山を登ったりロードをゆっくりと走る練習しかやっていませんでした。そして昨年8月末のUTMB完走以降は極端に練習量は減ったところに、コロナウイルス対応でマラソン大会も中止が続き益々運動をしない日々が続いていました。ということで、体力はめっきり落ちました。 そんな中、コロナウィルス感染防止のため本当に開催されるかわからない4月のUTMFのレースに向けて、2月末ごろからやっとトレーニングを再開しました。そんな経緯で先日久々にやったビルドアップ15km走では、体が重くスピードも出ないし心拍数も簡単に上がって、まったく情けない状況でした。 ですが、このビルドアップ走が5kmごと3段階(はじめゆっくりからステップ的に速度を上げる)がきちっとできたので、以前からやりたかった心拍数と走力の関係を調べてみました。集計したところ、使えそうな面白い傾向が出たのでまとめてみました。参考になれば幸いです。   測定法: Garmin 920XTJと胸バンドのハートレートモニター 被験者情報: 年齢61歳、男性、マラソン歴13年、ここ半年の月間走行距離50km。 フルベスト...