ランニングフォームの評価法と基準

評価の手段や、怪我のリスクの判断基準、エネルギー効率など国内外の論文と自社内の実験をベースにしています。

1. ピッチとストライド

  • ピッチ数が適切な範囲か
    中長距離・マラソンの場合、省エネ効率の点からは一般に180付近が適している。
  • ピッチとストライドのバランスが適切か
    • 走り方がピッチ優位かストライド優位かをチェック。
      速度や距離を向上させるには、ピッチかストライドのどちらが主観的に楽に伸ばせる余地があるかを提示。
      (女子は男子より着地衝撃を減らすため、相対的に高ピッチのランナーが多い)
    • ピッチが少な過ぎるとストライドが長くなり、着地衝撃が増大し怪我リスク増え、接地時間も長くなるのでパフォーマンスが出にくい。
    • 高ピッチ過ぎるとストライドが狭くなり、疲れる割に速度は上がらない。
  • ストライド長
    主観的に楽と思われる幅(速度で異なる)を自己選択しており、通常±3%まで変化させても問題ないが、急に±6%修正フォーム変化はケガのリスクが急増する。
  • ストライド長に影響を要因分解
    大腿、下腿の角度、身体上下動、空走期間、着地時間、地面反発力の利用効率など、ストライドに効く要因を評価する。

2. 着地衝撃の大きさと地面反力を使えてるか

  • 着地衝撃の大きさを推定
    衝撃は体重x速度/落下ブレーキ時間なので、身体の上下動の落下特性から速度とブレーキの時間を求め衝撃の大きさを推測します。(年齢・体重・トレーニング歴・筋力・耐性などから許容される衝撃の大きさは個人差が大きく怪我リスクは異なる)
  • 地面反力の使い方
    着地後半の離地前後の身体の上昇特性、膝の屈伸、着地時間から筋肉の進展を使った跳躍なのか、脚の剛性の弾性力を使って地面反発力を得ているのかをある程度識別します。
  • 無意識でも左右差が出やすいので、左右独立して評価します。
  • 脚のスイング軌跡から、着地衝撃の大きいフォームかどうかを評価します。

3. 身体姿勢と接地部位

  • 適度な前傾姿勢(胸郭角度と骨盤角度の2箇所を評価)
    過度な前傾や背中丸まり・腰折れ(胸郭と腰の傾斜の2箇所の傾斜を評価)の姿勢は脊柱起立筋負担が増し、ランニングエコノミーの低下、ブレーキも増える。
    • スプリント(加速持期): 15–25° (水平地面反力を最大化し加速効率を高める)
    • スプリント(最高速維持期): 3–8° (接地時間短縮・垂直反力重視)
    • 中・長距離: 2–6° 腰折れや背中丸まり無いこと
    • 市民ランナー: 2–6° 腰折れや背中丸まり無いこと
  • 着地位置と前傾姿勢の組み合わせ
    • 中長距離マラソン
      • 重心真下接地 + 適度な前傾 → ブレーキ最小、推進最大
      • 前方接地 + 過度の前傾 → ブレーキ増大、効率低下
      • 真下接地 + 後傾 → ストライドが短くなり、ピッチで速度維持は限界
  • 足の接地部位(接地部位は下腿の角度にも強く依存)
    • ヒールストライク(踵)→ 前方着地になり易くブレーキが大きい。接地衝撃も大きく膝や腰への負担増(膝蓋骨周囲痛、腸脛靭帯症候群のリスク)。市民マラソンランナーに多く、ミッドフットへ修正を推奨。
    • ミッドフット(中足部)→ 重心下に着地し易く、ブレーキが最小化され、推進効率良い
      腰・膝への衝撃も比較的分散される 
    • フォアフット(前足部)→ブレーキほぼない。接地時間が短くなるため、高速走に適する。但し、足底筋膜炎・アキレス腱炎・ふくらはぎ痛のリスク。市民ランナーは避けた方が良い

4. 骨盤と胸郭の回旋、腕と脚振りの連動性

脚を振ると骨盤・体幹に回旋モーメントが発生し、その回旋力を打ち消し、体幹を安定させるために腕を振る。この胴体の捻転力(弾性エネルギーの蓄積と解放)はストライドや推進力に寄与する。

  • 腕振り
    • スプリント 上腕 前方:40-50°、後方:50°前後と幅広い
      高速にスイングし、体幹の捻転と連動し骨盤回旋を強めて推進を補助
    • マラソン 上腕 前方: 体側付近から後方最大40- 50° (後方は肩甲骨の後退を伴う)
      脚振りによる胴体の捩れを打ち消し体幹の安定を主に省エネ
  • 肩と骨盤の回旋の大きさ(胴体の捩れの大きさ)
  • 腕振りと脚振りの連動性(力学的には完全逆位相が連動性は良い)

5. 前額面(左右方向)の動き

  • 着地時の骨盤ドロップ
    (着地時に、反対側の遊脚が自重で下降するのに伴って骨盤が遊脚側に傾く)
    • 研究値:3〜6°程度が自然な範囲
    • 8〜10°を超えると膝の内側負荷(膝外反モーメント)が増大。
      中臀筋の筋力不足・体幹安定性低下のサイン
  • 接地時の膝の瞬間的な左右方向変動
    • 膝が瞬間的に内側へ動きすぐ戻る
      大腿の内転角度変動値でおおよそ5°以内は正常
      10°を超えると膝の腸脛靭帯炎や膝蓋大腿痛症候群のリスク増大
    • 接地の瞬間膝が外側に動く(スプリント走の場合)
      脚を前方に振る時、大腿は内旋しながら前に振り出され、引く時は外旋しながら着地する、と同時に膝が屈曲し(脛骨は軽い外旋し足首が回外)、その一瞬後に大腿は内旋し元に戻る。これが膝が瞬間的に外側に動くように見える。これらはスプリント走においては、捻りによる衝撃吸収動作であり正常な動き。
  • 支持脚の大腿の定常的な傾き内転の角度(膝の内側倒れ/Knee valgus)
    • 5〜10°は正常範囲。
    • 15°以上は(走路が一直線上になり易い特徴がある)大腿痛症候群(PFPS)やITB症候群リスク(股関節・膝へのストレス増)
  • 着地時の過内回(オーバープロネーション)・外回
    • 過内回は、足底アーチが潰れ衝撃吸収が不十分のため、足首や膝に負担がかかり、疲労しやすくケガのリスクが高まる
    • 軽い外回でもケガリスクあり
  • 上半身の左右揺れや偏り
  • 着地瞬間の足の過内回(オーバープロネーション)、回外が無いこと
  • 着地時の骨盤ドロップが大きくないこ

6. 動きの左右差

  • 脚や腕の振り方や着地の左右差がどの程度あるか

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